Q1. 1円と1万円なら、1円の方が伸びしろがある?
単価だけでは判断できません。架空の資産Aを「1単位1円、流通量10億単位」、Bを「1単位1万円、流通量10万単位」とします。Aは1円×10億=10億円、Bは1万円×10万=10億円で、時価総額は同じです。
この計算から分かるのは、単価の桁が違っても規模の指標が同じになり得ることだけです。同じ時価総額だから同じ価値、同じリスク、同じ値上がり余地という意味ではありません。二つの架空資産に実在銘柄の性質は与えていません。
見慣れない安い単価を見るときは、まず何単位が流通しているかを確認しましょう。価格データの通貨が円かドルか、数量が万・億のどちらかでも計算結果は大きく変わります。
根拠:Coinbase:What is market cap?(2026年10月13日確認)。
Q2. 流通量、総供給量、最大供給量は全部同じ?
指している範囲が違います。流通量は市場で流通していると扱う数量、総供給量は発行済みの数量から焼却分などを除いた数量、最大供給量は仕組み上の上限として扱う数量です。流通量には推計や除外基準が入ることがあります。
たとえば発行済みでも、チーム保有分やロック中の資産を流通量に数えないデータ提供者があります。CoinMarketCapも独自の定義を設けており、ロック解除済みの数量と流通量を同一には扱っていません。数値が違うときは、まず定義と更新時点を読みます。
また、最大供給量が定まらない設計もあります。Bitcoinの現行プロトコルにおける2100万BTCという上限を、他の暗号資産へ当てはめることはできません。数量の欄が空白なら、ゼロと読み替えないでください。
根拠:CoinMarketCap:Supply(Circulating, Total, Max)、Bitcoin.org:半減期と供給上限(2026年10月13日確認)。
Q3. FDVは将来の時価総額を予言する数字?
予言ではありません。FDV(完全希薄化後評価額)は、現在の単価を、将来分を含む一定の供給量へ掛けた仮定上の指標です。表示元によって総供給量や最大供給量の扱いが違うため、何を掛けた数字かを確認します。
ここでは架空の資産Cを1単位10円とし、流通量200万単位、発行済みだがロック中300万単位、未発行500万単位、最大供給量1000万単位と仮定します。現在の時価総額は2000万円、最大供給量を使ったFDVは1億円です。
この1億円は、全1000万単位に現在の10円を当てはめた計算にすぎません。すべて流通する時期も、そのときの価格も確定していません。図では流通・ロック中・未発行だけに単純化しており、実際には解除済みの内部保有分なども確認が必要です。
根拠:Coinbase:Fully Diluted Valuation、CoinMarketCap:Supply(Circulating, Total, Max)(2026年10月13日確認)。
Q4. ロック解除の日には、必ず値下がりする?
必ずではありません。売却可能な量が増えることと、実際にその量が売られることは別だからです。市場の買い需要や、保有者の行動も影響します。予定されていた解除を、取引参加者がすでに考慮している場合もあります。
確認したいのは、いつ、誰の、どれだけの資産が動かせるようになるかです。一度に解除されるのか段階的か、予定を変更できる権限があるかも、プロジェクトの公式資料で読みます。供給が増えるという説明だけで将来価格を決めつけないようにしましょう。
根拠:CoinMarketCap:Supply(Circulating, Total, Max)、Coinbase:Fully Diluted Valuation(2026年10月13日確認)。
Q5. 時価総額は、集まったお金や換金できる金額?
どちらとも違います。時価総額は、その時点の単価を流通量全体へ当てはめた評価の数字で、過去の購入代金の合計ではありません。一部の売買で価格が変われば、それを使う時価総額も変わります。
全員が同時に売ろうとしても、同じ価格で全量を買う相手がいるとは限りません。実際の売却では注文数量と買い注文の厚さにより価格が変わり、費用もかかります。大きな時価総額は、元本の保護や換金の保証ではありません。
比較するときは「何の価格を、いつの、どの数量へ掛けたか」を先にそろえます。そのうえで用途、管理の仕組み、将来供給、売買のしやすさを調べる。この順序なら、安い単価やランキングだけに判断を引っ張られにくくなります。
根拠:Coinbase:What is market cap?(2026年10月13日確認)。