金額を固定すると買える量が変わる

ドルコスト平均法は、同じ商品を定期的に定額で購入する方法です。価格が安いときは多く、高いときは少なく買うことになります。投資信託なら、購入する量は「口数」で表します。毎回同じ口数を買う「定量購入」とは、固定するものが違います。日本証券業協会の解説

例えば毎月1万円と決めれば、相場を見るたびに購入額を考える負担を減らせます。ただし、購入時期を分けても、商品の値下がりリスクそのものがなくなるわけではありません。

同じ3万円を積立と一括で比べる

ここからは実績ではなく、仕組みを理解するための仮定計算です。開始時点で3万円を用意できるとして、毎月1万円を3回買う方法と、初回に3万円をまとめて買う方法を比べます。

価格はすべて投資信託の「1万口当たりの基準価額」です。両ケースとも初回は1万円、3回目は1万2,000円で、3回目の購入直後に評価します。手数料・信託報酬・税金・分配金・待機資金の利息は考慮しません。端数口数を許容し、表示値のみ四捨五入しています。実際に公表される基準価額には信託報酬などが反映されているため、実商品の数値を使う場合は二重に差し引かないよう注意が必要です。資産運用業協会の解説

仮定の基準価額の折れ線比較。単位は1万口当たりの円。初回・2回目・3回目の順に、Aは10,000・8,000・12,000円、Bは10,000・11,000・12,000円。初回と最後の価格は同じ。
同じ初回・最終価格でも、途中の値動きは異なります。実績や将来予測ではない仮定です。

ケースA いったん下がってから回復

基準価額:1万円 → 8,000円 → 1万2,000円
毎回1万円で買える口数:1万口 → 1万2,500口 → 約8,333.33口

積立では合計約30,833.33口を保有し、最終評価額は3万7,000円、損益はプラス7,000円です。一括では3万口を保有するため、評価額は3万6,000円、損益はプラス6,000円になります。

積立の平均購入単価は「投資総額 ÷ 総口数 × 1万」で計算すると約9,729.73円。3回の基準価額を単純に足して割った1万円とは異なります。安いときに多く買った分が効いています。

ケースB 上昇が続く

基準価額:1万円 → 1万1,000円 → 1万2,000円
毎回1万円で買える口数:1万口 → 約9,090.91口 → 約8,333.33口

積立は合計約27,424.24口、平均購入単価は約10,939.23円です。最終評価額は約3万2,909円、損益は約2,909円の利益。一括はケースAと同じ3万6,000円で、この場合は一括が上回ります。

計算式は「購入口数 = 投資額 ÷ 基準価額 × 1万」「評価額 = 総口数 ÷ 1万 × 最終基準価額」です。

元金30,000円の仮定比較。3回目の購入直後の評価額は、下落後に回復するAで積立37,000円、一括36,000円。上昇が続くBで積立約32,909円、一括36,000円。0円から共通スケールで表示し、破線が元金30,000円。費用・税金等は除外。
積立が上回る場合も、一括が上回る場合もあります。投資元金はどちらも3万円。手数料・信託報酬・税金・分配金・待機資金の利息は考慮していません。
仮定の値動き積立の最終評価額一括の最終評価額
A 下落後に回復37,000円36,000円
B 上昇が続く約32,909円36,000円

同じ投資総額、同じ最終価格でも、途中の値動きで結果は変わります。この2例は将来の成績や、それぞれの方法が勝つ確率を示すものではありません。どちらも最終価格が初回より高い設定です。値下がりが続けば、積立でも損失が出ます。

平均単価と利益は別に考える

積立には、購入時期が一度に集中するのを避け、毎月の収入から資金を回しやすい特徴があります。一方、価格が上がり続ければ、早い段階で全額を投資する一括のほうが有利になる場合があります。運用会社も、積立の買付単価が一括より高くなる場合があると説明しています。アセットマネジメントOneの解説

また、平均購入単価が下がっても、利益が出るとは限りません。手数料や分配金を考えなければ、売るときの価格が平均購入単価より低いと損失になります。下落後の回復は約束されておらず、積立にも元本保証はありません。金融庁も、株式や投資信託には元本割れのおそれがあると明示しています。金融庁「資産形成の基本」

積立額は家計と使う時期から決める

まず、日々の生活費、近く使う予定のお金、急な出費に備える資金を確保しましょう。そのうえで、収入が減ったり相場が下がったりしても、生活に支障が出ない金額を考えます。必要な時期に資金を使えるかも大切です。金融庁の家計管理とライフプランニング

投資先の分散や手数料の確認も欠かせません。買う時期を分けることと、複数の資産に投資先を分けることは別の工夫です。積立設定をした後も、家計や目的が変われば金額を見直してかまいません。

よくある質問

「ドル」とあるので、米ドルで投資する方法ですか?

通貨を指定する名前ではありません。日本円で投資信託などを定期・定額購入する場合にも当てはまります。

毎月の収入から積み立てる場合も、一括と比べるべきですか?

今回の比較は、最初から3万円がある場合です。毎月の収入で初めて資金が用意できるなら、同額を最初に一括投資する前提とは異なります。借入れを前提にせず、自分の資金の入り方に合う方法を考えましょう。

本記事は一般的な学習情報であり、特定商品の購入や個別の投資判断を勧めるものではありません。
参考情報確認日:2026年10月9日(日本時間)