通常目盛は同じ値幅を、対数目盛は同じ倍率の変化を、同じ縦の間隔で表します。チャートの形が変わっても、元の価格や売買損益が変わるわけではありません。「何円動いたか」と「何倍になったか」のどちらを読みたいかで見分けます。

公式情報確認日:2026年10月21日(日本時間)。正の価格を使った数学的な目盛の説明です。図は独自の架空例で、TradingViewの実画面や運用成績ではありません。

100円→200円→400円。同じ価格でも形が変わる

等しい時間の間隔で、価格が100円、200円、400円になったとします。通常目盛では、最初の上昇は100円、次は200円なので、後半の縦の移動は前半の2倍です。一方、対数目盛ではどちらも2倍の変化なので、縦の移動は同じになります。

同じ100円、200円、400円を等しい時間間隔で描く架空例。通常目盛の上昇幅は100円と200円、対数目盛ではどちらも2倍なので等間隔。
元の価格と横軸の間隔をそろえ、縦軸だけを変えた独自図。縦軸の表示範囲は両方100〜400円です。

図の対数目盛で200円が100円と400円のちょうど中間に来るのは、200÷100と400÷200がどちらも2だからです。通常目盛での中間は250円です。線の傾きだけで「勢いが強まった」「弱まった」と判断する前に、縦軸の設定を確認してください。

目盛の数学的な考え方:GraphPad公式資料「The Use and Abuse of Logarithmic Axes」1〜3ページ。価格・配置・計算は投資横丁による架空例です。

同じ10%上昇でも、値幅は同じではない

100円から110円は10円の上昇、200円から220円は20円の上昇ですが、どちらも変化率は10%です。通常目盛なら後者の縦の移動が2倍、対数目盛なら同じになります。同じ倍率を比べるときは、それぞれの上昇前の価格を分母にします。

架空例Aは100円から110円で10円上昇、Bは200円から220円で20円上昇。通常目盛の移動は1対2、対数目盛の移動は等しく、両方10%上昇。
2つの架空の値動きについて、縦の移動距離だけを取り出した比較図。同じ目盛の中で共通の縮尺を使い、価格水準そのものは省略しています。

計算は、Aが(110−100)÷100=10%、Bが(220−200)÷200=10%。対数での移動距離は、どちらも同じ倍率1.1の対数に比例します。ただし、上昇率が2倍なら対数目盛の距離も厳密に2倍、ということではありません。

逆向きも同じ考え方です。100円→200円と200円→100円は、対数目盛では同じ距離を上下に動きますが、前者は100%上昇、後者は50%下落です。「同じ距離」と「同じ符号を反転させた騰落率」を混同しないでください。

「%表示」にすれば対数目盛になる?

なりません。TradingViewは、通常(Regular)、百分率(Percent)、100基準(Indexed to 100)、対数(Logarithmic)を別の目盛として説明しています。百分率は始点からの変化率を線形に配置する方式で、同じ倍率を等間隔にする対数とは異なります。

たとえば100円を固定の基準にすれば、100円→200円→400円の百分率表示は0%→+100%→+300%です。各区間で2倍になっていても、百分率目盛での後半の縦の移動は前半の2倍になります。+100%→+200%と並ぶわけではありません。

製品上の区別:TradingView公式:Superchartsの設定「More price scale settings」。本記事の数値例は独自計算です。実際の表示を比較するときは、基準となる始点・期間もそろえてください。

どちらを使うかより、比較条件をそろえる

  • 何円動いたかを読みたい:通常目盛で差額を確認する。
  • 異なる価格水準での倍率を比べたい:正の価格を対象に対数目盛を使うと、同じ倍率を同じ距離として読める。
  • 複数の図を比べたい:目盛だけでなく、期間、時間足、縦軸の表示範囲、画像の縦横比を合わせる。別々に自動拡大された図の傾きは、そのまま比較しない。

通常の実数の対数では、0や負の価格をそのまま扱えません。本記事の図はすべて正の価格です。ソフトウェアによる補正や特殊な目盛の扱いは別で、ここで説明した数学的な目盛を、すべての製品表示の仕様だとはみなさないでください。

価格の目盛を変えても、データの遅延や株式分割調整は解消しません。株価と出来高の時点差、株式分割と調整済みチャートも別の条件として確認できます。時間足の違いは日足・週足とローソク足の見方、道具の選び方はチャートアプリ比較へ。

目盛の切替は見え方の変更であり、元の価格、保有数量、売買損益を変えません。特定の目盛が将来の値動きを正確に予測したり、利益を保証したりするものではありません。